不動湯温泉

本当にこの山道でいいのか?
雨に降られて足場が滑る
やっと着いた不動湯温泉
露天風呂への階段。試練だ
又いつか来たいが・・・
もう随分昔のことなんだが、車で遠野へ行った帰りに二本松サービスエリアに入り、今日はこの近辺の温泉に泊まろうと、ブルーガイドの旅館案内で探していたら、偶然不動湯温泉というのを見つけ宿泊した記憶があった。その後何度か、この温泉を再び訪ねてみようと思っていたんだが、あまりメジャーじゃないのか見つかりません。ところが何気なくテレビの秘湯温泉の番組を見ていたら不動湯温泉が放映されていました。これで不動湯温泉が福島の土湯温泉の奥にあることがわかりました。

福島駅で新幹線を降り、駅前のバスターミナルから土湯温泉行バスに乗る予定なんだが、バスの出発時刻まではまだ時間がある。そこで珈琲でも飲もうと駅前の大通りを歩いているとドートルの看板を見つけた。しかし、最近は何処の町にもドトールはある。店内を描写する必要もなくドトールなのだ。珈琲を飲み一息ついたのでバスターミナルへ戻ると、土湯温泉行バスは間もなく入って来た。
 バスには、既に紅葉の盛りは過ぎたていたので、七・八人の温泉客しか乗っていなかった。その内の二組が中国人らしく中国語だけがバスの中を飛び交っている。しかしいつも思うんだが、中国人や韓国人というのは何であんなに元気がいいんだろう。食べてるものが違うというのは説得力があるが、単にそれだけとも思えない。生存競争における生命力が違う。これがなんに由来するのかは私には解らないが、日本人の持つ優しさ又は軟弱さの美が、大陸や半島の人達には恐らく理解できないだろう。
 福島の駅を出るころには既に雲行きが悪かったが、バスが土湯温泉に着いた時はしかっり雨になっていた。今回折畳み傘を持って来ていなかったので、観光協会で傘を手に入れようと思っていたら、例の中国人の女の子達が先に傘を手に入れ、騒ぎながら歩いていくのが見えた。私は傘は諦め、化繊のアノラックに帽子を被っていたので、そのまま不動湯温泉を目差すことにしました。
 土湯温泉街の橋を渡ると山裾の車道に出る。そこを少し行った所に「不動温泉歩道入口」と書いた看板が立っている。だが、見るからに獣道のような山道であるが、私は諦めて登り始める。道は雨に濡れた落葉で滑りやすく、挙句の果てに、途中道が二つに別れているのだが道標もない。これが本当のどうしようもない、というやつで。親父の駄洒落はこのぐらいで。私は動物的勘で道を選択し、普段は20分程の行程を30分掛かってやっと目的の温泉旅館に着いた。
 山辺の古びたと言うか朽ち掛けた和風旅館の一軒宿。これが私の記憶していたこの温泉宿でした。ところがどこか私の記憶と違った。それがこの白いペンキと赤い屋根であることに気がついた。翌々見ると厚化粧はしたが中身は変わっていないようだ。宿の中は狭い廊下が途中螺旋状の階段になっており、殆ど迷路といっていい。当然、便所や洗面所は共同。温泉の種類は四種類あり湯船は五ヶ所。露天風呂は渓流沿いにあり、そこに行くには百何段かの階段を降りていかなければならない。言い添えておけば、ここの湯の温度は低く温湯だ。部屋のつくりは言うまでもなくかなりの年代もの。部屋の真ん中には会津塗りの大きな卓袱台が置いてある。そして、ちょっと眼には分からないのだが、一枚戸を開けると隠し部屋がある。布団部屋というべきか、寝室というべきか、いつも布団が二組敷かれている。それがなんとも淫靡な雰囲気を醸ちだしている。そういえば洗面所の傍の壁に明石家さんまの写真が貼ってあった。この隠れ湯と明石家さんまは似つかわしくない。何か不純な匂いがする。
 朝、目を覚ますと雪景色である。来た道を戻る気力はない。宿の人に言うとタクシーを呼んでくれるという。そういえば私も昔車で来たんだ。苦労して雨の山道を歩かなくても、最初からタクシーで来ればよかった。

Yawara Yoshino

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