☆ 尻焼温泉 ☆

長野草津口駅のバスターミナル
上流の湖
尻焼温泉なのだ
源泉のサンプルって何だ?
明星屋旅館の露天風呂
4月の14・15日と群馬の尻焼温泉へ行って来ました。以前、一度行ったことがあったのですが、そのときは雪が積もっており湯温が低く、川そのものが風呂になっているという温泉には入れませんでした。今回は雪どけと、川の水の温度をインターネットで確認し、満を持して出掛けました。
 上越新幹線で高崎まで行き、吾妻線に乗り換えた。ところが、中之条駅に着くと、今日はそこから先は保線・リニュアール工事の為、バスによる代行輸送になるという。駅舎から出ると、駅前には各方面の行先を表示したバスが待機しており、私は長野原草津口と表示されたバスに乗り込んだ。長野原草津口行きバスは乗客が乗り込むと直ぐに発車しました。
 バスは吾妻線に並行して走っていく。東京を出るときには桜の花は既に散ってしまっていたが、ここではいまが満開である。染井吉野、山桜。りんごの花に水仙に木瓜。春の花が一斉に山村風景の中で咲き乱れている。いつの間にかバスの中では、乗客たちの花談義が熱を帯びている。そろそろバスが長野草津口に近づいて来たのではないかと考えている頃、バスは吾妻渓谷沿いを走っていた。下を覗くと激しく渓流が流れ山桜が一本満開である。
 長野草津口駅のバスターミナルは良く整っていた。ここは草津温泉への入り口にも当たる。バスがターミナルに到着すると六七人は居ただろうか、男女の駅員が乗り換えバスの案内をし乗客をバスまで誘導していた。気が付くとターミナルの周りにはかなりの台数のバスが待機している。今はシーズンオフなので乗客は数えるほどしかいない。これは少し大袈裟ではないかと考えたんだが、つい最近の出来事を思い出した。中央線の高架切り替え工事が手間取り、乗客の代行輸送が混乱したことがあった。小泉首相がもっと手順よく出来ないものかと苦言を呈していた。これが大分効いているのかもしれない。
 ここから私達は花敷温泉行バスに乗り換える。さすがに私も少々疲れてきた。暫くはバスの外を眺めていたが、その内に眠ってしまい、気づいた時には花敷温泉の手前まで来ていた。花敷温泉といっても賑やかな温泉街がある訳ではない。二軒ほどの温泉旅館があるだけだ。停留所でバスを降りたが人影が見当たらない。取り敢えず、ここから川沿いを十分ほど歩いて上った所に目的地尻焼温泉がある。電車やバスを乗り継ぎ乗り継ぎ来たので、この川沿いの歩行は気持ち良い。その所為か尻焼温泉は思っていたより近く感じる。間もなく記憶にある旅館が見えてきた。前回宿泊した関晴館別館である。今回私達が宿泊するのは関晴館別館の横を通り、橋を渡った右手、川に沿って二軒の旅館が並んでいる。手前がホテル光山荘、その隣にある見るからに貧相な旅館が今晩泊まる明星屋旅館である。
 橋の正面は山で道路は橋を渡って直ぐに左に折れている。因みに川そのものが風呂になっているという温泉場は、この橋の左手上流にあり橋から風呂場全体が眺められる。私が橋の中央から温泉場のほうを眺めていると裸の男二人が歩いているのが見えた。まずは温泉場を確認しようと橋を渡り切り、道なりに曲がると駐車場があっり、その先に川辺に下りる小道があった。その小道を下りて行くと今にも壊れそうな掘立小屋に行き当たった。取り敢えず中を覗くと湯船が掘ってあり、それは温泉小屋だった。この温泉小屋の後ろを抜けると川そのものが風呂場という尻焼温泉である。橋の上から見たときは二人だと思ったが、実際に来て見ると五人程の若い男が川に浸かっていた。そういえば橋の袂の駐車場に車とバイクが駐車してあった。ドライブやツーリングのついでに立ち寄ったんだろう。私は場所を確認すると上の道路まで戻り、少し上流まで歩いてみることにした。
 緩い上り坂を歩いていると小雨が降り出してきた。連れが急に腹が痛いと言い出し、明らかにこれより先へ行くことに抵抗を示し始めた。私は連れを無視する事にした。申し遅れたが今回も同行者が居る。その連れを騙し騙し歩いていると左手にエメラルド色の人造湖が見えてきた。こんな場所に湖があるとは知らなかったが、一応達成感があり、いま来た道を橋まで戻ることにした。

橋まで戻ってくると、橋の袂がホテル光山荘の玄関である。その横の路地を抜けると明星屋旅館がある。明星屋旅館の玄関は、旅館の看板さえ出ていなければ、ただの民家の玄関というところだ。私はこの旅館の玄関にきたら探し物があった。カメラだ。カメラが何処かにあるはずだ。じつは、この旅館のインターネットのホームページに一日中ライブで玄関前が写りだされている。勿論、夜は真っ黒の画面しか写っていない。そのカメラは直ぐに見つかった。玄関の右上に付いていた。私は角度を見測り全国の皆さんに手を振り挨拶をした。恐らく見た人はいないと思うけど・・・。気が付くと、連れとこの旅館の婆が私の行動を訝しげに見ていた。遅れて私は旅館に上がり二人の後を付いていった。階段を上りながら婆は、連れに内風呂の場所や外の露天風呂の場所を説明している。上りきったところの直ぐの部屋に我われは通された。さそっく窓から外の景色を見ると決して悪くはない。部屋も古いが不満はない。何でこんな言い方をするのかと言うと。今回、連れが旅館の予約を取ったんだが、一泊二食付き7500円だと聞いて、私はかなりビビっていたのだ。
 連れは直ぐに浴衣と丹前に着替え、私達は目的の温泉に出掛けることにした。川の温泉場に着いてみると、先程の男達はすでに上がったと見え誰も居ない。此処には脱衣場などという気の利いたものもないので、川岸で適当に服を脱ぎ、川の中に入っていくと意外に浅い。それに川底の石を踏み足が痛い。私はへっぴり腰になりながら深場を探す。どうも対岸の岩場辺りが一番深いようだ。その深場の少し手前で私は腰を下ろす。やっと落ち着いて周りの景色を眺める。四方を山に囲まれた自然の川の温泉。気分は最高である。連れはと言えば少し離れたところで座っている。そういえば先程チラッと見た連れの裸は色っぽかった。やはり裸は自然の中に限る。ふと、田口ランディのエッセイを思い出した。ランディもこの尻焼温泉を訪れている。その時彼女もこの川の温泉に浸かりながら、チンポに真珠を入れた旅館の板前を見掛け、眼の前でじっくり拝見させて貰ったと書いていた。恐らくそれは光山荘の板前だろう。別に根拠があるわけではない。他愛無いことを考えていたら急に連れの悲鳴が聞こえた。私がどうしたと聞くと川底の砂地から熱湯が吹き上げてきたんだと言う。私は連れの大事なところを火傷させる訳にはいかないので、取りあえずここは出よう。と言って、私は一人掘立小屋の温泉風呂に向かった。
 掘立小屋の温泉は、自然の川の温泉と違って、一応湯船や温泉の温度も調整されているので、温泉としては此方の方が上等だろう。私がのんびり川を眺めながら温泉に浸かっていると、若いカップルが覗き込んできた。だれもここへ来ると先ずこの掘立小屋が気になるようだ。待っても連れが顔をださないので、私が川の温泉場に戻ってみると、先程の若いカップルの女の子が対岸の岩の上から入ろうとしている。私は嫌な予感がした。女の子は岩の上に片足を乗せ、もう片方の足で川底を探ったその瞬間。バランスを崩し、川の中へ倒れ込んでいった。しかし連れの男の子も危険を予期していたのか、川の中から飛び出し女の子を見事にキャッチした。私は服を着ると上の道路へ連れを探しに登っていった。連れは駐車場近くで待っていた。私は連れの彼女に次は旅館の露天風呂に行こうと声を掛けた。

Yawara Yoshino

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